社会保険労務士 江尻事務所では、組織開発の支援も行っています。特に、相互に学び支援し啓発し合う組織づくりの一環として、福祉の現場に動画マニュアルの導入・作成支援を行なっています。
動画マニュアル作成の効果は以下の4点です。
1. 現場スタッフの介護技術の向上
「この情報は正しい?」「この内容で間違いない?」「この説明で十分?」と撮影した動画を見直しながら内容を再確認。だから、マニュアルづくりを通して、現場スタッフの介護技術力が向上します。
2. 管理職のサポート技術の向上
「人に教える事が最高の学び」と言われるように、「わかっていたと思っていたが、わかっていなかった」といった気づき得られます。つまり、ベテラン職員も普段の業務を「振り返る」「教える」機会を通してサポート技術が向上します。
3. 新規採用者の早期育成
これまで先輩職員、指導者によって教え方がバラバラ。動画マニュアルだと「手順の流れ」や「細かい動き」などを正確に、何度でも分かりやすく伝えることができます。そのことから、安定して高い水準の指導ができるので、新規採用者の早期育成に効果的です。
導入事例
社会福祉法人 愛の園福祉会 介護老人福祉施設 いとまんシャトー
豊かな自然と赤瓦をモチーフに生命に優しい環境、お年寄りに優しい生活空間を設けました。毎日健やかに、一人ひとりの笑顔を大切に、充実した設備と医療サービス、何より真心の込もった介護で支えます。
平成21年より、社会福祉法人 愛の園福祉会 介護老人福祉施設いとまんシャトーではマニュアルを動画で活用しています。その動画マニュアルは単に新人への教育のみでなく、職員自身が作成することにより人材育成にも大きな効果を発揮しています。
今回は当施設の介護主任である上原冴香様に動画マニュアルの導入とその効果をお答えいただきました。
動画マニュアル導入のきっかけ
介護は、利用者の障害の度合いが異なるので、個別性が必要になる仕事です。
介護の経験がない新入職員への指導が最初の目的でした。介護の仕方について書かれたテキストは具体的な動きがイメージしづらく、またビデオ教材は見るのに時間がかかるなど活用するには不便な点が多くありました。
動画マニュアルは自分たちで撮影を行います。なので、私たちが普段が使用する道具や場所で撮影するので、親近感が湧くので見やすく、また、具体的な動きもよくわかります。
動画マニュアル作成の流れ
職員による動画マニュアル作成の様子
まず、主任クラスから撮影を始めて動画マニュアルを作成しました。そこで撮影時にどのような注意点があるか、どのように手順を見せたり、解説しないとうまくと伝わらないか、などを主任同士で指摘し合いました。
次に、一般職員でチームを組み、撮影テーマを選んで動画マニュアルを作成してもらいました。すぐに「作成してください」と仕事を振っても何をやればいいのかわからないので、まずは主任クラスも一緒に入って、どれぐらい時間をかけるのか、どこがポイントとなるのか、などアドバイスをしました。
その際に注意したのは主任クラスが口を出しすぎないようにすることです。あまり口出しすると職員に「やらされ感」が生まれてしまうからです。
テーマとなることには「何かない?」と投げかけたり、普段の業務から発生した事例をヒントとして提案するなど、できるだけ職員が自分の頭で考えて行動できるようにサポートに徹しました。
普段の業務がシフト制なので、チームのメンバーが同じ日や同じ時間にいるとは限りません。なので、集まって撮影の時間を取れるように勤務を調整しました。
撮影する際にも職員自身でやるように、介護する役・される役は職員が、どうしても人手が足りない時にはカメラ役としてサポートし、「なんでそうしようと思ったの」「介護している人側はどう思う?」と問いかけました。
通常業務もあるため、まとまった時間は長く取れません。なのでスムーズに動画を撮影するためにシナリオをきちんと作り、どこでアップするのか、など細かく話し合っていました。
他の社会福祉法人の職員も呼んで発表会で見てもらい、実際に質問のやりとりもあった。
人材育成としての動画マニュアルの効果
人に見せる(教える)ため、撮影内容を予習復習し直すので、ベテランも普段の業務を振り返るきっかけになりました。これが一番大きな効果ではないかと思います。
職員による動画マニュアル作成の様子
他の社会福祉法人の職員も呼んで発表会で見てもらい、実際に質問のやりとりもありました。ここもフィードバックにつながったのではないでしょうか。
事業所内の勉強会で見せ合うことで、お互いの仕事を理解し合うきっかけにもなりました。また、調理場の手洗い方法のように、他の部署のマニュアルでも活用できるものもありました。
勤務がシフト制で組まれているので、すれ違うだけの人、会話をしたことがない人たちも多かったと思います。職員同士が楽しそうに撮影している様子を見ていると、今回、動画作成という何かを一緒にすることが、いいコミュニケーションのきっかけになったのではないでしょうか。
今後は、動画マニュアルを見たあとに、「どこがポイントと思ったのか」「自分はどこに不安な点があるのか」などチェックシートに書き込んでもらうことで、次に繋げるように活用したいと考えています。
お客様からのメッセージ
お答えいただいたお客様:社会福祉法人 愛の園福祉会 介護老人福祉施設 いとまんシャトー 様
担当:上原冴香様
住所:沖縄県糸満市字大里927-2
電話番号:098-995-2500(代表)
Web:http://www.syato.ai-itoman.or.jp/